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廃炉環境国際共同研究センター; 量子科学技術研究開発機構*
JAEA-Review 2022-051, 78 Pages, 2023/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「幹細胞動態により放射線発がんを特徴付ける新たな評価系の構築」の令和元年度から令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本課題は令和3年度が最終年度となるため3年度分の成果を取りまとめた。本研究では放射線発がんの起源細胞である幹細胞について、幹細胞とその子孫細胞を永続的にラベルできる細胞系譜追跡技術を用い、高線量~低線量放射線被ばく後の乳腺組織において、細胞の長期にわたるクローン性増殖をとらえそれを数理モデル解析することにより、被ばくした幹細胞の動態で放射線誘発乳がんを特徴付けることを目的としている。被ばく後の乳腺基底細胞と内腔細胞を観察したところ、どちらも時間と共に拡大するクローンサイズが被ばくにより減少し、特に内腔細胞では被ばく後12週において0.05Gyで有意にクローンサイズの減少が観察された。被ばくにより細胞分裂速度が速くなり、かつ、クローンサイズの減少とともに細胞系譜追跡で観察された細胞老化や分化異常が引き起こされると仮定した場合に、マウス実験で見られる増加するクローンサイズの抑制を満たしながら、発がんリスクが上昇することを見出した。以上の結果から、低線量被ばくの影響をとらえる実験系が構築できたと言える。また、放射線誘発乳がんリスクの増加は0.03Gyと0.05Gyの間にしきい線量があり、それ以上の線量でないと乳がんは増加しない可能性が示唆された。
廃炉環境国際共同研究センター; 量子科学技術研究開発機構*
JAEA-Review 2021-052, 52 Pages, 2022/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和元年度に採択された「幹細胞動態により放射線発がんを特徴付ける新たな評価系の構築」の令和2年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では放射線発がんの起源細胞である幹細胞について、幹細胞とその子孫細胞を永続的にラベルできる細胞系譜追跡技術を用い、高線量低線量放射線被ばく後の乳腺組織において、細胞の長期にわたるクローン性増殖を捉えそれを数理モデル解析することにより、被ばくした幹細胞の動態で放射線誘発乳がんを特徴付けることを目的としている。令和2年度は、放射線発がんリスクの高い乳腺を構成する基底細胞の細胞系譜を追跡できるマウスモデルにおいて、非照射群では蛍光タンパク質を発現するクローンの拡大が時間経過とともに観察されるが、7週齢での放射線被ばくにより、途中まで拡大したクローンが縮小することを見出した。数理モデル解析を行うことで、この縮小は細胞の分裂停止と組織外からの細胞の流入によって説明出来た。この研究の最終目標は、未だに見つかっていない「放射線の痕跡」を幹細胞動態で特徴付けることのできる新規評価系の開発である。
市原 義孝*; 中村 尚弘*; 森谷 寛*; 崔 炳賢; 西田 明美
Frontiers in Built Environment (Internet), 7, p.676408_1 - 676408_14, 2021/06
本論文は、原子炉建屋/機器・設備の現実的応答評価の精度向上を目的に、建屋-地盤境界部の剥離・滑りを考慮した3次元FEMモデルにより2007年新潟県中越沖地震時の柏崎刈羽原子力発電所7号機原子炉建屋のシミュレーション解析を実施し、得られた知見をまとめたものである。3次元FEMモデルによる建屋-地盤連成系のシミュレーション解析から、基礎版端部で基礎浮き上がりが生じ、その影響が建屋側面及び底面の土圧性状、埋め込み部表層の最大応答加速度に局部的な応答の差異となって現れることを明らかにした。今回の検討においては、基礎浮き上がりと剥離・滑りが埋め込み部表層の最大応答加速度、建屋側面及び底面の土圧性状に与える影響は比較的小さかったものの、今後、さらに大きな地震動を想定する場合には、これらの影響が増大する可能性が考えられるため、地震応答解析においてはこれら影響の適切な評価が必要になると考えられる。
廃炉環境国際共同研究センター; 量子科学技術研究開発機構*
JAEA-Review 2020-045, 52 Pages, 2021/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、「幹細胞動態により放射線発がんを特徴付ける新たな評価系の構築」の令和元年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では放射線発がんの起源細胞である幹細胞について、幹細胞とその子孫細胞を永続的にラベルできる細胞系譜追跡技術を用い、高線量低線量放射線被ばく後の乳腺組織において、細胞の長期にわたるクローン性増殖を捉えそれを数理モデル解析することにより、被ばくした幹細胞の動態で放射線誘発乳がんを特徴付けることを目的としている。この研究の最終目標は、未だに見つかっていない「放射線の痕跡」を幹細胞動態で特徴付けることのできる新規評価系の開発である。
橋本 慎太郎; 佐藤 達彦
EPJ Web of Conferences, 239, p.03015_1 - 03015_4, 2020/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.1(Nuclear Science & Technology)モンテカルロ法に基づいた粒子輸送計算コードは、加速器施設の遮蔽計算等の目的で盛んに利用されている。計算結果の信頼性を評価するためには、計算で用いた試行回数によって決まる統計的不確かさだけでなく、計算で使用される全断面積モデル等の不確かさに起因する系統的不確かさも評価する必要がある。我々は、全断面積の実験値を参照しながら最小自乗法に基づいたKALMANコードを利用することで、内部パラメータに不確かさの幅をもつ全断面積モデルを開発した。新規モデルで計算した全断面積の不確かさは実験値の誤差と同程度であり、不確かさの幅の範囲で内部パラメータを変動させながら輸送計算を実行することで、計算結果における系統的不確かさを適切に評価できることが分かった。
廃炉国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2019-026, 51 Pages, 2020/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉国際共同研究センター(CLADS)では、平成30年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度「iPS細胞由来組織細胞における放射線依存的突然変異計測系の確立」について取りまとめたものである。これまで組織間における突然変異率を検討する際は、異なる個人間の細胞株を用い、それぞれの組織の突然変異発生率を評価していたために統一的な評価を下すのが困難であったが、本研究では、近年のiPS細胞をはじめとした幹細胞分野の生物学の技術革新により単一の細胞から組織細胞を分化誘導することが可能になったため、これらの技術を統合し、東京工業大学の研究室で樹立したiPS細胞を用いて神経系, 皮膚, 血液系, 循環器系の組織細胞を作製し、放射線照射後の各組織の突然変異率を計測して、組織による突然変異の違いを数理モデルの構築により評価する実験系の確立を目指す。
橋本 慎太郎; 佐藤 達彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(4), p.345 - 354, 2019/04
被引用回数:5 パーセンタイル:48.99(Nuclear Science & Technology)モンテカルロ法に基づいた粒子輸送シミュレーションは、加速器施設の遮蔽計算等の様々な目的で利用されている。モンテカルロ法による計算結果の信頼性を定量的に評価するためには、試行回数によって決まる統計的不確かさに加えて、計算で使われる反応断面積や計算の入力情報となる遮蔽材の密度がもつ誤差の影響を系統的不確かさとして求める必要がある。本研究の評価方法は分散分析に基づいており、これを鉄やコンクリートを遮蔽材とする中性子の遮蔽計算の解析に適用し、統計的及び系統的不確かさの両方を評価可能であることを示した。その際、入力情報の値を誤差の範囲で変動させるランダム条件法の他、三条件(中央値,上限値及び下限値)のみ変動させる三条件法を提案した。ランダム条件法は計算体系に関わらず適切に系統的不確かさが評価できるものの長い計算時間を必要とするのに対し、入力情報の誤差の影響が複雑な場合を除いて、三条件法は計算時間を抑えてランダム条件法と同じ評価結果を与えることがわかった。さらに、試行回数を増加させた場合の収束状況を判断できる新しい基準値を示し、必要最小限の計算時間で収束した評価結果が得られることを明らかにした。
erovnik, G.*; Schillebeeckx, P.*; Becker, B.*; Fiorito, L.*; 原田 秀郎; Kopecky, S.*; Radulovic, V.*; 佐野 忠史*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 877, p.300 - 313, 2018/01
被引用回数:5 パーセンタイル:46.12(Instruments & Instrumentation)原子炉中性子スペクトルで照射することにより得られる積分データから中性子断面積を導出する手法に関して、Westcottの記法を用いる断面積導出法の有効性について検討を行った。この結果、本手法で得られる精度は、中性子束エネルギー分布の精度に大きく依存すること、特に、導出される共鳴積分値が大きな影響を受けることを定量的に示した。また、中性子断面積のエネルギー依存性が既知の場合は、その情報を用いてこの影響を補正する手法を提案した。本手法を適用して、Amの熱中性子捕獲断面積を再解析した結果、720(14)bを得た。
竹田 敏一*; 横山 賢治; 杉野 和輝
Annals of Nuclear Energy, 109, p.698 - 704, 2017/11
被引用回数:2 パーセンタイル:19.65(Nuclear Science & Technology)核特性の測定と解析に係る系統誤差を推定すると共にそれらを取り除くことが可能な新しい断面積調整法を導出した。系統誤差を推定するために測定データと解析結果の比であるバイアス因子を適用する。バイアス因子の1からのずれは一般に系統誤差と統計誤差により引き起こされる。したがって、バイアス因子の1からのずれが測定と解析に係る誤差の合計の範囲内にあるかどうかを決めることにより、系統誤差を推定する。統計誤差は各々の信頼性のレベルにより決められるので、系統誤差も信頼性のレベルに依存する。高速臨界集合体及び高速炉実機により得られた589個の測定データを用いて、当手法により断面積調整を行った。当手法による調整結果と従来の調整手法を用いた結果との比較を行う。また、信頼性のレベルが調整後の断面積へ及ぼす影響についても議論する。
古澤 彰憲; 西村 昭彦; 武部 俊彦*; 中村 将輝*; 竹仲 佑介*; 西條 慎吾*; 中本 裕之*
E-Journal of Advanced Maintenance (Internet), 9(2), p.44 - 51, 2017/08
本論文では、配管のレーザー突合せ溶接に対して超音波ガイド波検査法が適用可能であるかを調査する。10種類の異なる溶接条件で作成した突合せ溶接配管試験体に対して超音波ガイド波試験を行い、検査信号の解析を行った。励起した超音波ガイド波はTモードガイド波であって、その励起と受信にはEMATを使用した。試験で得られたガイド波信号を解析することで溶接不良部からのガイド波検出信号が明瞭に測定される一方、十分に溶け込んだ溶接部からは反射信号がなく、突合せ溶接された溶接部の状況とガイド波検出信号に相関があることを確認し、超音波ガイド波検査法はレーザー突合せ溶接に対して適用可能性があることを示した。
川口 賢司*; 丸山 結; Zheng, X.
Journal of Artificial Intelligence Research, 56, p.153 - 195, 2016/06
被引用回数:12 パーセンタイル:54.63(Computer Science, Artificial Intelligence)This paper considers global optimization with a black-box unknown objective function that can be non-convex and partly non-smooth. Such a difficult optimization problem arises in many real-world applications, such as parameter tuning in machine learning, engineering design problem, and planning with a complex physics simulator. This paper proposes a new global optimization algorithm, called Locally Oriented Global Optimization (LOGO), to achieve both fast convergence in practice and finite-time error bound in theory. The advantage and usage of the new algorithm are illustrated via theoretical analysis and an experiment conducted with 10 bench-mark test functions. Further, we modify the LOGO algorithm to specifically solve a planning problem with continuous state/action space and long time horizon while maintaining its finite-time error bound. We apply the proposed planning method to severe accident management of a nuclear power plant. The result of the application study demonstrates the practical utility of our method.
浅井 雅人; Heberger, F. P.*; Lopez-Martens, A.*
Nuclear Physics A, 944, p.308 - 332, 2015/12
被引用回数:54 パーセンタイル:95.68(Physics, Nuclear)崩壊核分光による原子番号100から109までの原子核の核構造研究についてレビューした。崩壊核分光に関わる分離技術やデジタルエレクトロニクスの利用、線スペクトルにおけるサム効果などの実験技術や実験手法について詳しく記述した。実験結果や物理の議論については、ここ10年間に最も進展のあった、原子番号が偶数で中性子数151, 153, 155を持つ一連の原子核の核構造の系統性に特に焦点を絞って紹介した。
大内 則幸
保健物理, 40(2), p.166 - 169, 2005/06
低線量における発がん過程を念頭においた新しい発がん数理モデルの開発について報告する。細胞レベルの物理的ダイナミクスを考慮した、細胞がん化から腫瘍の形成までを記述する新しいモデルを構築した。モデルは細胞集団レベルにおいて、細胞間の接着,変形,移動などの物理的に記述可能なダイナミクスと、突然変異による細胞の変異,細胞分裂,細胞死、など細胞内部のダイナミクスの両方を持ち、細胞ががん化し、腫瘍を形成する様子を経時的に調べることができる。
松永 武; Monte, L.; 都築 克紀; 柳瀬 信之; 半澤 有希子; 上野 隆
JAERI-Review 2003-039, 150 Pages, 2004/01
原子力施設の事故時に放出され得る放射性核種については、大気からの地表への沈着と、これにつづく表面水系の移行経路に対して1986年のチェルノブイリ事故以来大きな関心が払われてきた。欧州の国々ではそれらの経路を含んだ放射性核種の移行予測と汚染対策にかかわる意志決定支援のための計算コードシステムが開発されている。そこで、河川流域における放射性核種の移行挙動についての数学モデルの構築に関して、日本原子力研究所は、この種の数学モデルの専門家であるイタリアのLuigi Monte氏(新技術・エネルギー・環境研究所,ENEA: Ente per le Nuove tecnologie,L'Energia e l'Ambiente)を2003年5月22日同6月20日の期間に招へいした。本報告書は、同氏の滞在の期間に日本原子力研究所並びに当該分野にかかわる日本国内の大学・研究機関において行われた報告と議論を要約したものである。河川流域における放射性核種の移行挙動を表す数学モデルの利点そして留意点が議論された。
峯尾 英章; 後藤 実; 飯塚 勝*; 藤崎 進; 萩谷 弘通*; 内山 軍蔵
Separation Science and Technology, 38(9), p.1981 - 2001, 2003/05
被引用回数:22 パーセンタイル:63.74(Chemistry, Multidisciplinary)銀シリカゲル(以下Ag-Sと略)カラム内のヨウ素-129分布を予測する数学モデルの適用性を44,000MWdtまでの燃焼度の使用済燃料の溶解時に発生する実際のオフガスを用い検討した。モデルによって予測されたヨウ素-129の分布は実験で得られた分布とよく一致した。このモデルは使用済燃料溶解時のオフガス処理のため423Kで運転されるAg-Sカラムにおけるヨウ素分布予測に有効であることが示唆された。また、この予測で用いた有効拡散係数やラングミュア係数の値は、オフガス中のNO濃度が1%程度まで使用可能であると考えられた。
片倉 純一
JAERI-Research 2003-004, 19 Pages, 2003/03
核分裂生成物の核分裂収率を予測するシステマティックスを検討し、新たなシステマティックスを提案した。このシステマティックスは30年程前に提案された森山-大西システマティックスに基づいている。森山-大西システマティックスの後に測定されたデータをもとにパラメータを見直し、新たな関数型によるパラメータを決定した。このパラメータを用いて核分裂収率を計算し、測定データと比較した。さまざまな核分裂による収率について自発核分裂から高エネルギー粒子による核分裂まで広い範囲で測定との良い一致を得た。
遠藤 章; 山口 恭弘; 高橋 史明
Radiation Risk Assessment Workshop Proceedings, p.151 - 156, 2003/00
数値シミュレーション手法を用い、さまざまな姿勢における中性子,光子及び電子による人体の被ば線量分布を詳細に解析するシステムを開発した。このシステムは、MIRD型数学人体ファントムをもとに開発したさまざまな姿勢を表現できる可動型数学人体模型及びモンテカルロシミュレーションコードMCNPによって構成される。このシステムを用い、東海村臨界事故の重度被ばく患者に対する線量分布の解析を行った。開発した計算システムと解析結果の概要について述べる。
永野 哲志; 磯部 博志*; 中嶋 悟*; 芦崎 翠*
Applied Spectroscopy, 56(5), p.651 - 657, 2002/05
被引用回数:10 パーセンタイル:50.41(Instruments & Instrumentation)本報は、風化花崗岩中に微量に存在する鉄酸化物を顕微可視分光法で分析した結果を報告したものである。顕微可視分光計は数十mの微細領域の可視光スペクトルを測定する装置であり、微視的に不均質な花崗岩に適用すれば構成鉱物毎の情報を得ることができる。従来からの拡散反射法により風化花崗岩中には結晶質の針鉄鉱が存在することが示されていたが、本分析法により結晶質相に加え非晶質水酸化鉄も存在していることを明らかにした。また、風化環境下における非晶質水酸化鉄及び針鉄鉱の生成速度を議論するとともに、風化環境下において熱力学的に不安定であり本来速やかに結晶化するはずの非晶質水酸化鉄が、有害元素を取り込んだ場合には長期に亘り安定に存在する可能性を指摘した。
峯尾 英章; 後藤 実; 飯塚 勝*; 藤崎 進; 内山 軍蔵
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(3), p.241 - 247, 2002/03
被引用回数:26 パーセンタイル:82.31(Nuclear Science & Technology)使用済燃料溶解時のオフガス処理に使用される硝酸銀含浸シリカゲル(AgS)カラムにおけるヨウ素の軸方向分布を予測する数学モデルを単純な吸着理論に基づき提案した。モデルで必要なパラメータは、有効拡散係数とラングミュア係数の2つで、既往の吸着実験により得られたヨウ素の軸方向分布によるフィッティングによって、423Kにおいて、それぞれ5.6010m/s及び1.010mkgと決定した。これらパラメータの値を用い、既往の研究におけるさまざまな実験条件下でのヨウ素の分布を計算したところ、提案したモデルはこれらの分布を良く予測できることがわかった。さらに、AgS粒子中銀含有率の影響も予測できることもわかった。AgS吸着剤へのヨウ素の吸着速度は、ポア径が小さいことから粒子内のヨウ素の拡散過程が律速と考えられた。提案したモデルは単純でAgS吸着カラム内のヨウ素分布の予測に有用である。
Hwang, G.; 小貫 薫
Journal of Membrane Science, 194(2), p.207 - 215, 2001/12
被引用回数:59 パーセンタイル:87.3(Engineering, Chemical)熱化学法ISプロセスの水素発生工程の高効率化を目的として、膜反応器によるヨウ化水素接触分解反応に関する理論的検討を行った。解析にあたり、H及びHIの透過係数は、試作したシリカ膜における実測値を用いた。実測困難なIの透過係数については、H/I選択性が分解率に及ぼす影響を調べて評価した。検討の結果、90%以上のヨウ化水素分解率の得られる条件が存在することを明らかにした。さらに、反応部体積と膜面積との比,無次元長さなどの反応器パラメータと分解率との関係を明らかにし、その結果をもとに膜反応器の設計指針を論じた。